ダイエットのために食事制限をしたことがある人も多いのではないでしょうか。好きな食べ物や飲み物を我慢しながらのダイエットは、辛くて挫折してしまうケースも少なくありません。
男性が体脂肪を減らすには、やみくもに食事制限するのではなく、必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。この記事では、男性が効果的に体脂肪を減らすための食事のポイントを解説します。また、体脂肪の燃焼をサポートする栄養素もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分けられる
体脂肪は、蓄積する場所によってそれぞれ名前が異なります。
皮下脂肪とは、その名の通り皮膚の下についている脂肪です。特にお尻や太ももなど下半身に集中してつきやすく、皮下脂肪が多い人の体型のことを、その見た目から「洋ナシ型肥満」と呼ぶこともあります。
皮下脂肪は、体温の維持や内蔵や骨の保護などの役割を果たす脂肪であり、落としにくい点も特徴です。女性ホルモンの影響で、男性よりも女性のほうが皮下脂肪がつきやすいといわれています
一方、内臓脂肪はその名の通り内蔵の周辺につきやすい脂肪です。内臓脂肪が増えるとお腹がポッコリ出るような体型になるので「リンゴ型肥満」と呼ぶこともあります。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて血中に溶けやすいため、活動時のエネルギー源として使われやすく、落としやすいという特徴もあります。
皮下脂肪とは対照的に、内臓脂肪は男性のほうがつきやすいといわれています。そのため、男性のお腹ポッコリは食事習慣を整えれば改善しやすいといえるでしょう。
体脂肪を減らす食事のポイント
食事を改善することで最初に思いつくのは、摂取カロリーを抑える「食事制限」ではないでしょうか?しかし、やみくもに食事量を減らしてしまうと、摂取したカロリーを消費しにくくなる原因になる可能性があります。
ダイエットのために食事量を減らしたのにもかかわらず、体脂肪が減りにくくなってしまっては本末転倒です。効果的に体脂肪を減らす食事のポイントを解説しましょう。
摂取カロリーを消費カロリー未満に抑える
身体活動で消費できなかったカロリーは、体脂肪として身体に蓄積されます。先述の通り、やみくもに食事制限をすると、体脂肪が減りにくくなる可能性があります。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまうと、食事にどれほど気を遣っていても、体脂肪は減りません。摂取カロリーが消費カロリーを上回っている人は少しでもよいので、摂取カロリーが消費カロリー未満になるように調整しましょう。
栄養管理アプリを活用すれば、摂取カロリーをチェックできます。まずは、自身が1日にどの程度のカロリーを摂取しているのかを把握するところから始めましょう。
よく噛んで食事に時間をかける
摂取カロリーを減らすポイントとして、「よく噛むこと」も挙げられます。よく噛むことで満腹中枢を刺激するホルモンが分泌され、満腹感を得やすくなります。
人が満腹感を感じるまでは、食事を始めてから20分程度かかるといわれています。そのため、よく噛まずに早食いしてしまうと満腹感を感じにくくなり、食べ過ぎてしまう可能性も。
よく噛んで食事に時間をかけることで、食べ過ぎを予防できるでしょう。忙しいときや空腹時などは、早食いしやすいため注意が必要です。食事にゴボウなどの繊維質な食材や、こんにゃくなどの弾力のある食品を取り入れると、あまり意識しなくても噛む回数を増やせるでしょう。
食物繊維を含む食材から食べる
食物繊維は、ダイエットを効果的に進める上で非常に重要な栄養素で、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられます。
不溶性食物繊維を多く含む食品を食べると、自然に噛む回数が増えるので唾液や胃液の分泌が促進されます。水分を吸収した食不溶性食物繊維は、お腹の中で膨張するため満腹感を得やすく、食べ過ぎを防いでくれます。
一方、水溶性食物繊維には、糖質の吸収速度を緩やかにする効果が期待できます。糖質の吸収が緩やかになると、血糖値の上昇も緩やかになるため、体脂肪の合成を抑えられます。どちらも食事の最初に食べることで、より効果を発揮するため「食物繊維ファースト」を意識しましょう。
PFCバランスを意識した食事を心がける
PFCバランスとは、摂取カロリーの中で糖質と脂質、タンパク質が、どのくらいの割合を占めるのかを示した比率です。体脂肪が多い人は、糖質量や脂質量の割合が高く、タンパク質の割合が低い傾向にあります。
厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」でPFCバランスの目安を示しています。
【PFCバランスの目安】
糖質:50%~65%
脂質:20%~30%
タンパク質:13%~20%
摂取カロリーが消費カロリーを下回っていることが前提ですが、量を意識できるようになったらPFCバランスが上記の割合に収まるよう調整していきましょう。
不足している栄養素はサプリで補う
摂取カロリーだけを減らして、栄養バランスの良い食事を摂るのは簡単ではありません。主な理由として以下の2つが挙げられます。
【ダイエット中の栄養素が偏りやすい理由】
- 摂取カロリーを減らしつつ、栄養バランスの良い食事を摂るには食品のチョイスに工夫が必要
- 外食が多い場合、食事量でカロリーをコントロールするしかないため食品数が減り、摂取できる栄養素も限定されやすい
必要な栄養素が不足すると、筋肉量の低下や糖質、脂質、タンパク質代謝の低下により、消費カロリーが減ってしまいます。食事だけで必要な栄養を摂るのが難しい場合は、「サプリメント」で補いましょう。
もちろん、食事からバランスよく栄養素を摂取することが理想です。しかし、食事だけで必要な栄養を摂るのが難しい場合は、サプリの利用も検討するとよいでしょう。
体脂肪の燃焼をサポートする栄養素
効率よく体脂肪を減らすには、先にご紹介したポイントを押さえながら食事を摂ることが大切です。糖質やタンパク質、脂質といった三大栄養素以外にも、体脂肪の燃焼を促進する栄養素を摂ることで、より効率的に体脂肪を減らすことができるでしょう。
糖質の代謝に欠かせないビタミンB1
ビタミンB1は、ビタミンB群の一種で、糖質の代謝を促進する働きがあります。摂取した糖質の内、一定量は肝臓や筋肉で貯蔵されます。糖質を身体活動で使いきれず、肝臓や筋肉にすでに一定の糖質が貯蔵されている場合、余った糖質は体脂肪として蓄えられます。
ビタミンB1の働きで、糖質がエネルギーとして使われやすい状態になれば、身体に体脂肪を溜め込みにくくなるでしょう。ビタミンB1は豚肉や色付きの穀類(玄米やそば)に多く含まれます。
脂質の分解を助けるビタミンB2
ビタミンB2は、ビタミンB1と同様にビタミンB群に分類される栄養素です。三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)をエネルギーに変換する働きがあります。特に脂質の代謝を促すため体脂肪を分解し、燃焼させるために欠かせないビタミンです。
ビタミンB2は、レバー、チーズ、卵、青魚、納豆に多く含まれます。
脂肪燃焼細胞を増やすオメガ脂肪酸
オメガ脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種です。京都大学の研究によると、オメガ脂肪酸には脂肪燃焼細胞を増加させる効果があるとされています。※1
脂肪細胞には脂肪を溜め込む白色脂肪細胞と、脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞があります。オメガ脂肪酸には、白色脂肪が褐色脂肪のような機能を持つ細胞に変化するベージュ化と呼ばれる現象を促進する作用があります。
【脂肪細胞の働き】
白色脂肪細胞:脂肪を身体に蓄える
褐色脂肪細胞:脂肪を燃焼させる
白色脂肪のベージュ化によって脂肪が燃えやすくなるため、体脂肪が増えにくい身体になるのです。オメガ脂肪酸の代表格であるDHAやEPAはマグロやサンマ、サバなどの青魚、うなぎに豊富に含まれます。
脂肪の燃焼を促進するカフェイン
スペインの研究チームによると、有酸素運動の30分前にカフェインを摂取すると、脂肪の燃焼が促進されたとされています。※2
また、運動する時間帯によっても、最大脂肪酸化速度(MFO)に違いがあったことも報告されています。カフェインを摂取して午前に有酸素運動を行った場合のMFOは10%、午後に運動した場合は約30%MFOが上昇したとしています。
一方で、カフェインの過剰摂取は、交感神経が過剰に優位になりめまいや不安、心拍数の増加などにつながります。長期的な作用として、人によっては高血圧のリスクが高くなる可能性もあるので、摂りすぎには注意しましょう。
体脂肪を減らすには運動も必要
前述の体脂肪の燃焼をサポートする栄養素は、体脂肪の「分解」「運搬」「燃焼」に作用します。しかし、これらの栄養素を摂取するだけでは、減量効果は期待できません。
ダイエットへの効果が期待できるとされている栄養素は、運動することで初めて効果を発揮するのです。あくまでも、運動や日常活動による脂肪燃焼を助ける栄養素と考えるべきでしょう。
体脂肪を減らしたいのであれば、ダイエットに有酸素運動や筋トレを取り入れる必要があります。
体脂肪を燃やしやすい身体は食べたもので作られる
体脂肪を減らすためには、消費カロリーが摂取カロリーを上回っている状態をキープすることが重要です。食事量を減らして摂取カロリーを減らすダイエットでも、一時的に体重を減らすことはできるでしょう。
しかし、食事量を減らすだけのダイエットでは、体脂肪の燃焼に必要な栄養素が不足する可能性があります。必要な栄養素をしっかり摂取しなければ、体脂肪を燃焼させやすい身体をつくるのは不可能です。栄養バランスの整った食事と運動の二本柱で、体脂肪が減りやすい健康的な身体を手に入れましょう。
参考
※1魚油摂取は交感神経を介して、「脂肪燃焼細胞」を増やす-「魚油」の効果で体脂肪燃焼を促す新メカニズムを解明 京都大学 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2015-12-18
※2Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation? https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-020-00400-6