中年になると、お腹がポッコリとした体型に悩まされる人が増えてきます。40代前後になると気になり始める、いわゆる「中年太り」は、食べ過ぎや飲みすぎ、運動不足だけが原因ではありません。中年男性特有の原因もあるため、しっかりと原因を理解をした上でダイエットに取り組む必要があります。
この記事では、男性特有の原因を考慮した中年太りを解消するためのダイエット方法を詳しく解説します。
Contents
男性の中年太りの原因
40代に差し掛かると、お腹周りの脂肪が気になる中年太りに、多くの人が悩まされます。脂肪が蓄積されるのは、カロリーの摂り過ぎや運動不足が主な原因です。しかし、中年太りになってしまうのは、中年男性特有の原因もあります。
男性の中年太りの原因について、詳しくご説明しましょう。
年齢とともに基礎代謝は低下する
加齢によって「基礎代謝」が下がると、1日に消費されるカロリーも低下します。その結果、脂肪が燃焼しにくくなり、身体にどんどん蓄積されて太ってきます。
基礎代謝とは、呼吸や体温の維持など、じっとしているだけでも消費されるエネルギーのことです。基礎代謝は、10代後半をピークに年齢とともに低下していくため、若かった時と同じ食生活をしていては脂肪が増えてしまいます。
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版) 厚生労働省
若い頃と同じような方法でダイエットをしても痩せにくいのは、基礎代謝が低下しているからなのです。基礎代謝量は筋肉と大きな関係があり、筋肉量が多ければ多いほど基礎代謝も高くなります。加齢による筋肉の衰えも、基礎代謝が低下する原因の一つです。
男性ホルモンの減少
「男性ホルモン」の分泌量の減少も、中年太りを引き起こす原因の一つです。男性ホルモンの一種である「テストステロン」は、生殖機能や骨格、筋肉の形成に関与しています。
テストステロン分泌の減少が原因で、体力や筋力が低下することも。結果として基礎代謝や活動代謝が低下し、内臓脂肪の蓄積やメタボリックシンドロームのリスクが高まる可能性もあります。
【テストステロン】
主に精巣から分泌されるホルモンで、生殖機能の維持、骨格や筋肉の形成に関与する。内臓脂肪の蓄積の抑制などの働きもあるといわれており、男性が活動するためのエネルギー源でもある。
テストステロンは、20代をピークに徐々に分泌が減少していき、男性の更年期障害を引き起こす原因になることも。男性の更年期障害は、「加齢男性性腺機能低下症候群」と呼ばれています。性欲の低下や抑うつ、不眠などを引き起こすほか、筋力も低下するため消費エネルギー量が減少し、内臓脂肪が増える場合もあります。
アルコールの飲み過ぎ
「仕事の付き合いでお酒を飲む機会が増えた」という中年男性も多いのではないでしょうか。アルコールの飲み過ぎも中年太りにつながります。アルコールには、食欲を高める作用があります。飲酒によって、カロリーを摂り過ぎてしまう可能性があるため、ダイエット中は注意が必要です。
また、アルコールの1gあたりのエネルギー量は7kcalと高カロリーです。糖質やタンパク質よりもカロリーが高いのです。
炭水化物・タンパク質 | 脂質 | アルコール | |
---|---|---|---|
1gあたりのカロリー | 4kcal | 9kcal | 7kcal |
アルコール代謝によってエネルギーを作り出している間は、糖質や脂質はエネルギー源として使われにくくなります。そのため、お酒の席で食べたものは、脂肪になりやすいのです。
飲酒が多い人は脂肪の増加に加えて、生活習慣病のリスクを高めてしまう可能性もあるので注意しましょう。
体型や美容への関心の低下
人によっては、歳をとるにつれて体型や美容への関心が低下し、ダイエットの必要性を感じなくなる場合もあります。
鏡で自分の身体をチェックする機会が少なくなると、体型の変化にも気づきにくくなります。また、ダイエットや美容に日常的に気をつかっている中年男性は、女性ほど多くはありません。そのため、ダイエットに関する知識が不足していることも。
ダイエットに挑戦してみたものの、知識不足が原因で効果的な減量方法がわからず、中年太りを解消できずに悩む人も少なくありません。
自身の体型への関心が薄いと、普段の姿勢にも関心が向かなくなってしまいます。姿勢が悪くなると、身体の動きも小さくなるため、消費エネルギー量が低下する可能性もあります。
中年太りを解消するには、自身の体型の変化に目を向けることも大切です。
中年太りを解消するダイエット方法
中年太りを解消するには、男性特有の原因にアプローチできる方法を取り入れることが重要です。男性が中年太りを解消するためのダイエット方法をご紹介します。
適度な運動で男性ホルモンの分泌を促す
テストステロンの分泌量が増えると筋肉の合成が促進され、エネルギー消費量の増加が期待できます。テストステロンの分泌を増やすには、適度に運動するのが効果的です。
軽いジョギングなどの「有酸素運動」を継続して行うとテストステロンの分泌が促進されます。また、筋トレでもテストステロンの分泌量が向上することがわかっています。
ただし、あまりにも激しい運動は、逆にテストステロンの分泌を低下させてしまうので注意しましょう。軽めの運動を継続して行うことをおすすめします。
適切な摂取カロリーを把握する
脂肪を燃やすためには、摂取カロリーを消費カロリーより低く抑える必要があります。適切な摂取カロリーを把握して、カロリー過多にならない食生活を心がけることも大切です。
毎日健康に過ごすためには一定のカロリーを摂取する必要があります。しかし、消費カロリーよりも摂取カロリーが多いと、余分なカロリーが脂肪として蓄積されてしまうため太ってしまいます。中年太りを解消するには、消費カロリー>摂取カロリーの状態にすることが大切です。
1日に必要なカロリーは、性別・年齢・筋肉量・身体活動レベルによって決まります。ただし、自分でカロリー計算する場合、手間がかかるためストレスを感じる人もいるでしょう。
手軽に摂取カロリーを把握する方法としてぜひ活用したいのが、「栄養管理アプリ」です。栄養管理アプリを利用すれば摂取カロリーの計算など、ダイエットの食事管理を効率化できます。
飲酒量やおつまみの量を抑える
お酒を飲みながら食事すると、アルコール自体のカロリーに加えて、食事のカロリーがプラスされます。先にご紹介したように、アルコールには食欲を増進させる作用があるため、脂っこいおつまみを食べてしまう人も少なくありません。ダイエットを成功させるには、飲酒量やおつまみの量を抑えるのも大切なポイントです。
おつまみを食べる際は、野菜やナッツ類、豆腐など、低カロリーで高タンパクのメニューを選ぶとよいでしょう。また、お酒と一緒に水を飲むのも、血液中のアルコールが薄まり、飲み過ぎが抑えられるおすすめの方法です。
お酒の種類によっては、アルコールだけではなく、糖質を多く含むものもあります。飲み過ぎれば摂取カロリーが増えて、脂肪の蓄積につながります。
酒類 | カロリー(100gあたり) | 糖質(100gあたり) |
---|---|---|
ビール(淡色) | 39kcal | 3.1g |
ビール(黒) | 45kcal | 3.6g |
ワイン(赤) | 68kcal | 1.5g |
ワイン(白) | 75kcal | 2.0g |
日本酒(本醸造酒) | 106kcal | 4.5g |
日本酒(純米大吟醸) | 102kcal | 4.1g |
缶チューハイ(レモン風味) | 51kcal | 2.9g |
ウイスキー | 234kcal | - |
参考:食品データベース 文部科学省
ビールや日本酒は糖質を多く含むため、ダイエット中は控えた方がよいでしょう。
ストレスを上手に発散する
ストレスは、男性ホルモンの原料である「DHEA」の分泌を減少させてしまいます。ストレスを溜めないように、適度に発散させることも重要です。
DHEAには、男性ホルモンの原料として利用される以外にも、以下のような働きがあります。
【DHEAの働き】
- 筋肉の維持や代謝の向上
- 糖尿病や脂質異常症の予防
- 免疫力の向上
DHEAの大敵はストレスであり、身体にストレスがかかると分泌されにくくなってしまいます。DHEAの分泌量が減少すると筋肉がつきにくくなり、中年太り解消の妨げになる可能性もあります。
DHEAの分泌を妨げないよう、充分な睡眠や適度な運動、良質な人間関係など、ストレスをためない生活を心がけることが重要です。
十分な睡眠時間を確保する
睡眠不足は、食欲を高めるホルモンである「グレリン」の分泌が増える原因になります。中年太りを解消するには、充分な睡眠時間を確保することも大切です。
寝不足は、体内のホルモン分泌や自律神経機能、食行動にまで大きな影響を及ぼすことが明らかになっています。寝不足の状態を2日間続けただけで、食欲を抑えるホルモンの「レプチン」の分泌が減少し、食欲を高めるホルモンのグレリンの分泌が増えるとされています。
また、中性脂肪の分解や筋肉の修復をする働きがある「成長ホルモン」が分泌されにくくなり、太りやすくなってしまう可能性も。
不規則な食事や運動不足、アルコールの過飲などは、睡眠の質を低下させる原因になります。生活習慣を改善して、良質で十分な睡眠時間を確保するよう心がけるのも重要なポイントです。
就寝前の食事を避ける
就寝前の食事は、脂肪が増える原因となるので避けましょう。遅くとも、就寝する2時間前までに食事を済ませるのが理想的です。
寝ている間は、消費エネルギーが少なくなるため、寝る直前に食事をすると摂取したエネルギーが余り、脂肪として蓄積されやすくなります。また、夜間は脂肪の合成を促進する作用がある「BMAL1(ビーマル1)」が活性化するため、身体に脂肪を溜め込みやすくなります。
どうしても夕食の時間が遅くなってしまう場合には、お粥や雑炊などの、消化が早くて内臓に負担がかからない食べ物を選ぶのがおすすめです。具が入っていない温かい味噌汁やコンソメスープを飲むと体温が上がって、眠気が促されるため、スムーズに入眠できるでしょう。
中年太りを解消するなら生活習慣の見直しが必要
カロリーの摂り過ぎや運動不足だけが中年太りの原因ではありません。基礎代謝の低下や男性ホルモンの減少など、中年男性特有の原因もあるため、年齢に合わせてダイエット方法を実践する必要があります。
中年太りを解消するには、食生活や運動などの生活習慣を見直すことが重要です。無理のない範囲で生活習慣を見直すことで、お腹がスッキリとした理想的な体型に近づけるでしょう。