年齢を重ねるとともに、中年男性は基礎代謝の低下や筋肉量の減少によってダイエットが難しくなります。
しかし、ダイエットに筋トレを取り入れると、脂肪を消費しやすい身体をつくれます。
ダイエット目的で筋トレする際は、大きな筋肉を鍛えるのがおすすめです。
この記事では、中年男性向けにトレーニング器具なしで大きな筋肉を鍛えられる筋トレを9種類ご紹介します。
筋トレの効果を高めるポイントも詳しく解説していきます。
Contents
中年男性のダイエットに筋トレが必要な理由
ダイエットに筋トレを取り入れるメリットとして以下の2つが挙げられます。
- 基礎代謝が向上して脂肪を消費しやすくなる
- 減量後のリバウンドのリスクを抑えられる
中年男性のダイエットに筋トレが必要な理由を解説します。
筋肉量の減少は基礎代謝の低下につながる
筋肉の量は、年齢とともに減少します。
生命維持に必要な活動に消費されるエネルギーである基礎代謝の内、22%は骨格筋によって消費されます。
臓器・組織 | 重量 (kg) |
エネルギー代謝量 | 比率 (%) |
|
---|---|---|---|---|
(kacal/kg/日) | (kcal/日) | |||
全身 | 70.0 | 24 | 1,700 | 100 |
心臓 | 0.33 | 440 | 145 | 9 |
骨格筋 | 28.0 | 13 | 370 | 22 |
脂肪組織 | 15.0 | 4.5 | 70 | 4 |
肝臓 | 1.8 | 200 | 370 | 21 |
脳 | 1.4 | 240 | 340 | 20 |
腎臓 | 0.31 | 440 | 137 | 8 |
その他 | 23.16 | 12 | 277 | 16 |
体重70kgで、体脂肪率20%の男性を想定
出典:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム 厚生労働省
筋肉量が減少すると基礎代謝も低下するため、食事で摂ったエネルギーが余りやすくなります。
余ったエネルギーは、脂肪として身体に蓄えられることに。
そのため、中年男性は若い男性よりも身体に脂肪がつきやすいのです。
筋トレで筋肉を増やせば太りにくい身体に!
筋トレで筋肉量を増やせば、基礎代謝も向上します。
基礎代謝は、生きているだけで消費されるエネルギーです。
基礎代謝を高めれば、1日の消費カロリーも増加するため、食事で摂取したエネルギーが余りにくくなります。
筋トレで基礎代謝を改善すれば、より多くのエネルギーを消費する太りにくい身体になるのです。
減量後のリバウンド予防にもつながる
食事管理のみでダイエットした場合、食事のカロリーを減量前と同じ水準に戻せば、再び体重が増加する可能性も。
リバウンドは、消費カロリーを超える大量のカロリーを摂取することで引き起こされます。
通常、同じ食事内容・活動量であれば、基礎代謝が高い人ほど太りにくい傾向にあります。
リバウンドのリスクを抑えるためにも、ダイエットに筋トレをとり入れましょう。
中年男性がダイエットに筋トレを取り入れる際のポイント
ダイエットに筋トレを取り入れる上で、押さえておきたい4つのポイントを解説します。
基礎代謝を高めるなら大きな筋肉を鍛えよう!
大きな筋肉を動かすには、多くのエネルギーを必要とします。
つまり、大きな筋肉を鍛えると、効率的に基礎代謝を高められるのです。
大きな筋肉は下半身に集まっています。
お尻の大臀筋や太ももの大腿四頭筋などが、下半身の大きな筋肉として挙げられます。
上半身であれば、胸の大胸筋や背中の広背筋を鍛えるのがおすすめです。
ダイエット中は、大きな筋肉を鍛えられる筋トレに取り組みましょう。
鍛える部位ごとにローテーションを組む
筋肉量を増やすには、筋肉の超回復を待つ必要があります。
【超回復】
高い負荷によって傷ついた筋繊維が修復され、以前よりも筋繊維が太くなる現象。
超回復を繰り返すことで、筋肉量は徐々に増えていきます。
部位によって違いはありますが、超回復には24~48時間ほどかかるとされています。
強い筋肉痛が残る状態で、無理に筋トレすると超回復を妨げてしまう恐れも。
鍛える部位のローテーションを組めば、一部の筋肉を休ませつつ、別の部位を鍛えられます。
効率的に筋肉を増やしたいのであれば、筋トレメニューのローテーションを組みましょう。
タンパク質が不足すると筋肉がつきにくくなる
タンパク質は、筋肉の合成に欠かせない栄養素です。
筋トレに取り組んでも、タンパク質が不足すると筋肉がつきにくくなります。
努力を無駄にしないためにも、タンパク質をしっかり摂りましょう。
タンパク質は、肉や魚に多く含まれています。
食事だけでタンパク質を十分に摂るのが難しい方は、プロテインで補うとよいでしょう。
筋トレメニューを変えて異なる刺激を与える
個人差はありますが、筋トレをはじめた当初は同じトレーニングメニューでも筋肉が増えるのを実感できるでしょう。
しかし、身体は同じ刺激に徐々に慣れていきます。
同じ筋トレメニューにばかりに取り組んでいると、なかなか筋肉が増えなくなることも。
筋肉量を増やすには、刺激に変化を持たせることが重要です。
同じ筋肉を鍛える場合でも、違う種目を取り入れることで、いつもと違う刺激を与えられます。
トレーニングに慣れてきたら、筋トレのバリエーションを増やした方がよいでしょう。
ストレッチも取り入れる
年齢が上がるにつれて、関節の動きが悪くなったり、筋肉や靭帯が硬くなったりすることで、柔軟性が低下します。
柔軟性の低下は、日常生活での動きや運動能力に悪影響を及ぼし、ケガや痛みの原因にもなります。
トレーニングにストレッチを取り入れると柔軟性が向上し、筋トレのパフォーマンスを高められます。
筋肉が増えると身体が硬くなると考えている方も多いようです。
しかし、実際には筋トレのやり方によっては、柔軟性が向上することも分かっています。
ストレッチと筋トレを組み合わせることで、より効果的に柔軟性を高められます。
有酸素運動と組み合わせるとより効果的
筋トレと有酸素運動を組み合わせることで、より効果的なダイエットが期待できます。
先にご紹介したように、筋トレには基礎代謝を向上させる効果があります。
一方、有酸素運動は、脂肪をエネルギーとして燃焼させる運動です。
適度な強度で継続的に有酸素運動することで、脂肪燃焼が促されます。
加えて、有酸素運動は心肺機能を向上させる効果も。
心肺機能が向上すると、筋肉への酸素供給が改善され、筋トレ時のパフォーマンスが向上し、トレーニングの効果が高まります。
筋トレと有酸素運動を組み合わせることで、それぞれの効果が相互に補完し合い、より効果的なダイエットが可能になります。
器具なしでOK!中年男性におすすめの筋トレ9選
トレーニング器具がなくても取り組める中年男性におすすめの筋トレを9種目ご紹介します。
下半身の筋肉を鍛える「スクワット」
中年男性がはじめに取り組む種目として、スクワットはおすすめです。
スクワットは、トレーニングの効果が高いとされる筋トレのBIG3の内、唯一の自重トレーニング。
スクワットでは、大臀筋や大腿四頭筋などのお尻・太ももの筋肉を鍛えられます。
大きな筋肉を動かすので、筋トレの中でも消費カロリーが高い種目です。
【スクワットのやり方】
- 足を肩幅くらいに開き、つま先と膝を同じ向きにする
- 両手を胸の前で軽く組む
- お尻を後ろへ突き出すようにして、ももと床が平行になるくらいまで腰を下ろす
- 腰を上げてゆっくりと元の姿勢に戻る
筋トレ全般にいえることですが、間違ったフォームで取り組むと効果が半減する上に、身体を痛める恐れもあります。
しゃがむ時には、ひざをつま先と同じ方向に曲げましょう。
加えて、しゃがんだ時にひざをつま先より前に出さないよう注意しましょう。
太もも・お尻の筋肉を鍛える「ランジ」
ランジは、足を交互に大きく前に出して、腰を落とす動作を繰り返す筋トレです。
鍛えられる筋肉は大臀筋や大腿四頭筋などで、スクワットと似ています。
しかし、スクワットよりも姿勢が不安定なため、体幹の筋肉も鍛えられます。
スクワットよりも大臀筋への負荷が多い点も特徴です。
【ランジのやり方】
- 片足を前に出して脚を前後に開く
- 上体をまっすぐにしたまま、前のひざが90度になるまで曲げる
- ひざを伸ばしながら、ゆっくりと元の姿勢に戻る
- 反対側の足も同様の要領で交互に行う
スクワットでは物足りなくなってきたら、ランジも取り入れるとよいでしょう。
インナーマッスルを鍛える「プランク」
プランクは、体幹の深い位置にあるインナーマッスルを鍛えられる筋トレです。
インナーマッスルが衰えると、内臓の位置が下がり、お腹がでることも。
インナーマッスルを鍛えれば、基礎代謝の向上に加えて、内臓を正しい位置に戻すことができます。
ぽっこりお腹が気になる方は、プランクに挑戦するとよいでしょう。
プランクは比較的負荷が低い種目なので、筋力があまりない方でも取り組みやすいです。
【プランクのやり方】
- 両肘を床につけてうつ伏せになる
- 両肘とつま先で身体を支える
- 頭からかかとまでのラインが一直線になるように姿勢をキープする
プランクでは、うつ伏せの状態からひじを直角に曲げた状態で、前腕とつま先で体重を支えます。
背中からつま先までのラインをまっすぐに保つのがポイントです。
1回20秒からはじめて、慣れてきたら時間を徐々に延長しましょう。
大胸筋を鍛える「プッシュアップ」
プッシュアップとは、いわゆる腕立て伏せです。
プッシュアップでは、胸板の筋肉である大胸筋や上腕三頭筋などの腕の筋肉も鍛えられます。
【プッシュアップのやり方】
- うつ伏せで寝転がる
- 両手を両肩より少し広めに離して構える
- 首からかかとまで一直線になるようにして、身体を持ち上げる
- 息を吸いながら、身体をゆっくりと下ろしていく
- 限界まで下げたら、1秒間停止する
- 息を吐きながら、身体を持ち上げる
筋力に自信がない方は、つま先ではなくひざをついた状態で腕立て伏せするとよいでしょう。
プッシュアップでは、プランク同様に体幹を固定する必要があるため、体幹の筋肉も鍛えられます。
背中を曲げたり、反らしたりせずにまっすぐな状態をキープするのがポイントです。
腕の幅を広げるワイドプッシュアップでは、大胸筋への負荷をさらに高められます。
ノーマルのプッシュアップに慣れてきたら、ワイドプッシュアップに挑戦するとよいでしょう。
さらに大胸筋を鍛えるなら「デクラインプッシュアップ」
デクラインプッシュアップは、段差に足を乗せた状態で行うプッシュアップです。
通常のプッシュアップと基本的に鍛えられる筋肉は同じですが、より高い負荷をかけられます。
自宅のイスや階段などを利用するとよいでしょう。
【デクラインプッシュアップのやり方】
- イスや階段の上に両足をのせて、腕立て伏せの姿勢になる
- 肘を曲げて上半身をゆっくりと床に近づける
- 腕を伸ばして元の姿勢に戻る
デクラインプッシュアップでは、極力身体を一直線に保ち、腰を曲げたり、背中を反ったりしないように意識しながら動きましょう。
下っ腹の筋肉を鍛える「レッグレイズ」
レッグレイズは、仰向けの状態から脚をまっすぐに伸ばして、持ち上げる筋トレ。
レッグレイズでは、主に腹直筋を鍛えられ、インナーマッスルも刺激できます。
脚を垂直になるまで持ち上げては、下げる動作を繰り返します。
【レッグレイズのやり方】
- 脚を伸ばし、両手を床につけて仰向けに寝転ぶ
- 両足を揃えて、脚を浮かせる
- 息を吸いながら、床に対して90度になるまで足を上げていく
- 息を吐きながら、床ギリギリのところまで足をゆっくりと下ろして止める
- 足の上げ下げの動作を繰り返す
脚を下げる際は、床に足をつけないように注意しましょう。
脚を曲げずにまっすぐに伸ばした状態をキープするのもポイントです。
ウエスト周りの引き締めには「バイシクルクランチ」
バイシクルクランチは、腹筋や横腹筋を鍛えるエクササイズで、ウエスト周りの筋肉を引き締める効果が期待できます。
【バイシクルクランチのやり方】
- マットや床に仰向けに寝る
- 両手をこめかみに当て、肘を外側に開く。
- 両足を床から持ち上げ、膝を90度に曲げる
- 右の肘と左の膝を近づけるように、上体と左脚を持ち上げる
- 左の肘と右の膝が近づくように、上体と右脚を持ち上げつつ、足が床につかないように右脚を伸ばす
- 右脚を曲げて元の位置に戻し、5と同じ要領で右の肘と左の膝を近づけながら左脚を伸ばす
息を止めずに、一定のリズムで動き続けましょう。
背中全体の筋肉を鍛える「スーパーマン」
スーパーマンは、脊柱起立筋や広背筋などの背中の筋肉を鍛えられる筋トレです。
【スーパーマンのやり方】
- マットや床にうつ伏せになり、両腕を前方にまっすぐ伸ばす
- 顔を下向きにし、顎をマットから離す
- 足は肩幅程度に開く
- 息を吸いながら、背中を反らすように腕と両脚を同時に持ち上げる
- 2~5秒程度同じ姿勢をキープ
- 息を吐きながらゆっくりと脚と腕を元の位置に戻す
スーパーマンでは、可能な限り腕と足を高く上げることでトレーニングの効果を高められます。
背中と肩の筋肉を鍛える「ドアロウ」
ドアロウは、主に背中の広背筋や僧帽筋を鍛えられる筋トレです。
【ドアロウのやり方】
- ドアノブや取っ手にタオルを巻いて滑り止めにする。
- ドアノブや取っ手を両手でしっかりと握る
- 両足を肩幅程度に開き、軽く膝を曲げる
- 上半身を後ろに倒しながら、ゆっくりとドアに体重をかける
- 肩甲骨を寄せながら肘を曲げて、ゆっくりと上半身をドアに引き寄せる
- 肘を伸ばしながら、ゆっくりと元の位置に戻る
ドアの材質によっては破損したり、事故の恐れもあるため、強度に不安がある場合は別のトレーニングに取り組みましょう。
本格的に筋トレしたい方には「パーソナルトレーニングジム」
本格的に筋トレしたい中年男性には「パーソナルトレーニングジム」がおすすめです。
パーソナルトレーニングジムでは、専属のトレーナーがマンツーマンでトレーニングをサポートしてくれます。
トレーニングマシーンも利用できるので、筋トレのバリエーションを増やせます。
トレーニング中は、基本的にマシーンを独り占めできます。
一般的なジムのように、順番を待つ必要もありません。
あなた専用のトレーニングメニューを作成するので、自身に合った方法でダイエットを進められます。
パーソナルトレーニングジムについては、関連記事をご覧ください。
筋トレしながら健康的にダイエットしよう!
中年男性におすすめの筋トレを9種目ご紹介しました。
記事のポイントをまとめると、以下のようになります。
- 筋トレには基礎代謝を向上させる効果がある
- 基礎代謝を高めるとリバウンドのリスクを低減できる
- 筋トレと有酸素運動を組み合わせると効率的に脂肪を減らせる
運動の習慣がなければ、筋肉量は徐々に減少します。
筋トレを取り入れて健康的にダイエットを成功させましょう。
食事管理なども含めた無理のないダイエット方法も解説しているので、ぜひご覧ください。